『白馬のお嫁さん』発売前後のあれやこれや

雨隠ギド先生と百合について

1巻のオビを「甘々と稲妻」を連載中の雨隠ギド先生に書いていただきました。恥ずかしいほどのお褒めのお言葉と、清隆+産む男3人のオリジナルイラストまで寄せてくださってます。

すごく本の中身が面白そうに見えるオビで驚きました。短編集の萩尾望都先生に続いて、オビ運はもう〜めっちゃくちゃツイております。直接お礼もさしあげず失礼しておりますが、大変感謝しております。ありがとうございます。

人気作家さんなのでとても意外だったのですが、前から雨隠先生に注目していただいてることは、「【インタビュー】大切なのは「ギャップ萌え」と「カタルシス」! 『甘々と稲妻』雨隠ギド【後編】 | このマンガがすごい!WEB」で存じてました。

それで百合本を出されてるということで、今後の参考になるかもしれないと、『終電にはかえします』を読んだんですけど、あれですね、僭越ですけど、やっぱりちょっと恋愛の趣味が似てますね。これだったらたしかに、私の漫画の「産む男と議論娘」とか「脳が這う大統領と半竜娘」みたいなカップリングも楽しんでいただけたかもしれません。

カップリングが(すべて日本人ですが)すごく独特なんですよ。そしてエロティックなシーンは想像におまかせで、肉体を超えた心の結びつきのほうに特価した百合作品群でした。百合はだいたい「精神の解放」と「女の子同士っていいよね」っていう志向が組み合わさっているものだと思いますが、雨隠先生の百合は「精神の解放」寄り。子孫繁栄を捨ててひとつの人間関係に飛び込んじゃうロマンチシズムにきゃーってなる感じの漫画です。

私はまったく百合にくわしくないんですが、志村貴子先生の作品が「子孫繁栄」というか、遺伝子を残さなきゃいけないだろう人間はという「普通の認識」を遠回しではあるけれど取り入れて、それが主人公達を悩ませ作品の陰影を作っているのに比べて、雨隠先生は圧倒的に吹っ切り方が軽い。短編だからではなく、そういう思想なんだと思います。川原泉先生の『夢だっていいじゃない』を思い出しました。

唐突にリチャード・ドーキンス風に言いますと人間は「遺伝子とミームの乗り物」で、遺伝子的存続を無視してミームの暴走を許すというのはヴォグ・ランバ風に言えば「記号の暴走」なんですが、個人でやる分には問題ないです。というか、個人でやる分には爽やかなものだなあと感じました。

で、結局『甘々と稲妻』も全巻読んじゃいました。

息子が単行本を読んでしまっている件

まずいです……。5歳になったばかりの息子が、うちに届いた『白馬のお嫁さん』の見本の単行本を無邪気に読んでいます……! 妖怪ウォッチも理解しきれないくらいですから興味なかろう&信じないだろうと思って、私が描いたんだと言ったら熱心にページをめくって離しません! 

『白馬のお嫁さん』は、息子が大きくなる前にやってしまおうと思って始めたネタなのに……! 

まあ読み方はいたって素朴ですし(お風呂で肩車しちゃあぶないねー(笑)みたいな見方)、意味がわからず絵だけ見てる分にはほとんど卑猥じゃないと思うのですが……。ときどきニコニコしている……!その笑みは……なに……!!

奥付でタイトルにルビがふってあるのを見て「はくばのおよめさん、はくばのおよめさん」と読みを覚えて言ってきます。ぎくっとします。ちなみに氏家君は、作中で子どもに「しらないおじさん」と言われていることから、そのまま「しらないおじさん」として認識されています。

山本直樹先生は「自分の描いた漫画を子供に見せられるのか?」と聞かれて「見せるわけないだろ、バカ!」と答えたそうですけど*1……次からは隠します。

そのほか発売関連記事

アフタヌーン公式サイト「モアイ」での特集記事など、発売関連記事をまとめました。よろしければどうぞ。

最後に、未来の鎌倉が舞台だからというわけではないかもしれませんが、鎌倉の島森書店さんを見たら『白馬のお嫁さん』がどっさり平積みしてありました。ありがとうございます!あんまり鎌倉押しじゃなくてすみません!

Webコミックサイト モアイ - 白馬のお嫁さんの第1話無料公開はこちらです。

白馬のお嫁さん(1) (アフタヌーンKC)

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