新作「白馬のお嫁さん」について

新作をお待ちいただいたみなさま向けの告知です。
どうもたいへんお待たせしました。3月25日発売の月刊アフタヌーンから新連載がスタートします。

今回の作品は、とにかく人物をかわいく描こうと現在ヒーコラしています。書店の漫画コーナーを見渡すたびにかわいいキャラの表紙が多くてくじけそうですが……。温かな視線でおつきあいください。

テーマは恋愛です。近代の、結婚という風習と結びついた、例のあの自由恋愛であります。
内容は「三文未来の家庭訪問」に出てきたWOLVS男児(産む男)で、リタより2歳年上の、また違う運命をたどる男の子らの話です。

産む男が出てくるということはジェンダーがらみ、例の「男性問題」の話でもあるんですが、その中でも恋愛と結婚に話をしぼってじっくりやろうという趣向です。
われわれが関心を寄せてきたあの恋愛とは一体なんだったのか、というあたりをなるべく深く掘り下げていければと思っています。

今回は今までよりもずっとゆっくりしたペースで展開させていただけることになりまして、庄司にページ数を無制限に与えるとどういうふうになるのか、という結果がご覧になれそうです。話が落ち着くまでは、今までの作風とけっこう違うかんじかもしれません。SFと認知されるかどうかも、現時点ではちょっとわかりません。(ご期待にそえなかったらすみません。)

あと、商業漫画の伝統にのっとり、今回はテーマを語りきらなくても途中で打ち切りになる可能性があると思います。制作側の問題で中断……というのは考えたくありませんが、それもあり得ます。漫画的な部分よりもSF的な骨子をさっと把握したいといった向きの方は、連載終了時に評判を見てから購読を判断されたほうが良いでしょう。

でもまあ、ヴォグ・ランバのように1本の大きな物語で語るロジックがとりわけ重要というかんじではなくて、各話に見所が分散される形になると思います。

そういう意味でも、今回は伝統的な日本の商業漫画というかんじの作りになると思いますので、とりあえず途中まで読んでくださるとありがたいです。まあ……変テコな話なんですけども。どうぞよろしくお願いします。

金曜2h

あ、金曜2h聴きそびれちゃった! 録音も忘れてた!

しまったしまった。鷲崎さんが取り上げてくださったそうで、まあここは読まれていないと思いますが、どうもありがとうございます。

私はよく仕事中にアニラジを聴いてまして、一番よく聴いてるのが鷲崎健さんの番組なんです。浅野真澄さんと文化放送の「アニスパ!」をされてる方ですね。

ゲストとのトークも面白いんですけども、2時間ある2hでは軽妙なひとりしゃべりが聴けまして、「今週はなんにもなかった」なんてかんじで始まるフリートークがすごく面白かったりするんです。まあ声優ファンの間では有名ですよね。

文化放送 超!A&Gで金曜19:00〜21:00なので、若い声優さんとか声優アニソン業界とかにご興味のある方はどうぞ。来週のゲストは……堀江美都子さん!?

例のキャンペーン

庄司創短篇集「三文未来の家庭訪問」の感想で作者直筆イラストが当たるキャンペーン、あと10日で締め切りです。
ツイッターやブログをされている方など、もしよろしければどうぞ。

庄司創短篇集「三文未来の家庭訪問」の感想で作者直筆イラストが当たるキャンペーン

三文未来の家庭訪問 (アフタヌーンKC)

おかげさまで今までの読み切り((四季大賞受賞作「三文未来の家庭訪問」、宇宙人と地獄の漫画「辺獄にて」、古代海洋生物の漫画「パンサラッサ連れ行く」です。「パンサラッサ連れ行く」に10P加筆で、巻末に三文未来の4Pおまけマンガが入っています。加筆修正はほとんどパンサラッサのみとなっています。ちなみに「三文未来の家庭訪問」の作中に出てくる「はてなネタ」は、こちらの記事にまとまっています。))を集めた短篇集「三文未来の家庭訪問」が発売になりました。電子書籍化も同時です。

凄腕デザイナー芥陽子さんの装丁と薫陶を受けまして、オビにはなんと萩尾望都先生にキャッチコピーを頂きまして、 オビにはなんと萩尾望都先生にキャッチコピーを頂きまして 、我ながら素敵な本に仕上がっております。しかも今までよりも、わりとお手元に届きやすい部数を刷っていただいてます。

ですが新人で連載も終わったところですので、どうしてもなかなか話題になりません。話題にならないというのは、それはもう鬼より恐いなんとやらで。そこで皆様のお力を頼りにしようという宣伝企画です。

絵が当たります

抽選で計5名様に、こんなイラストボードに描いた絵が当たります。(絵の内容はそれぞれ異なります。)

サインペンで描いたイラストの画像。カノセさんとリタのツーショット。

私は普段ペンタブでしか絵を描かず、漫画家として恥ずかしながらお絵かきの習慣もまったくありませんので、アナログで直筆のイラストは相当レアではあると思います。きっとなんらかの価値があります。

以下、応募から当選の流れです。

応募方法1:この記事のURLを広めていただく場合(2名様に当選)

この記事のアドレス(この記事へのリンク)を、ご自分のブログ等にアップしてください。URLは、http://d.hatena.ne.jp/hajime_shoji/20130322/campaignです。

  • Twitterでツイートの場合はハッシュタグ「#三文未来の家庭訪問の感想」をつけていただく事で応募となります。
  • ブログ等の場合は、sanmonmirai@kodansha.co.jpにその記事のURLをお知らせくだされば、それで応募となります。

応募方法2:感想を書いていただく場合(3名様に当選)

  1. まず短篇集「三文未来の家庭訪問」を読みます。(ありがとうございます。)
  2. 45字以上の感想や書評を、ご自分のブログ・Twitter等のサイトにアップします。
    • Twitterでツイートの場合はハッシュタグ「#三文未来の家庭訪問の感想」をつけていただく事で応募となります。
    • ブログ等に書かれた場合は、sanmonmirai@kodansha.co.jpにその記事のURLをお知らせくだされば、それで応募となります。(このアドレスは応募受付専用なので、問い合わせ等はできません。)

感想を書いてくださる方、読んでくださる方、このキャンペーンを応援してくださる方、皆様に御礼申し上げます。

抽選の流れ

  1. 応募締め切りは4/22です。
  2. 私の担当の編集さんがハッシュタグが付いたツイートと、メールでお知らせいただいたブログを読みに行きます。私もURLを教えてもらって見に行くと思います。
  3. 厳正に抽選します。Twitterで当選した場合は、アフタヌーン編集部のTwitter(@afternoon_manga)がフォローしてお知らせしますので、相互フォローをお願いします(その後は編集部の方がDMでやりとりするそうです)。ブログ等での応募は、当選のメールでお知らせします。末尾「kodansha.co.jp」以外から当選メールが来たらニセモノです。またTwitterのDMでやり取りする場合も、DMで直接ご住所など個人情報を伺うことはなく、必ず「kodansha.co.jp」のメールアドレスか電話で送付先を伺うとのことです。発表は当選者へのお知らせを持って代えさせていただきます。

注意など

  • ステマになってなくて(こういうキャンペーンだとわかるように書かれて)大丈夫です。
  • 内容は酷評でも大丈夫です。読んでくださった方自身の感想や書評をお書きください。
  • 利用するのは普段お使いのブログ等のサービスで、サービス1つにつき応募方法1と2をそれぞれ1回(計2回)までのご応募とさせてください。
  • ブログ以外のホームページでも、なんでしたらいつもお使いの書評サイトで投稿して「これ書いたの自分です」と送ってくださってもいいんですけども、もしもの事を考えますとこちらからご連絡のつくサービスのほうが良いかと思います。
  • Facebookミクシィのようなクローズドなサービスは、編集さんや私が見に行けないのでご応募できません。ご了承ください。
  • 「この作品の絵がいい」とかいうご希望は反映できないかもしれません。一応書かれてみてもいいかもしれません。

ちょっと手探り感のあるキャンペーンですが、どうぞふるってご応募ください。

参考文献などは書かなかったので

もし「勇者ヴォグ・ランバ」に出てくる要素についてもっと知りたいという方がいらしたら、このあたりをおすすめします。

意識の話

哲学的ゾンビとか、意識を記述できるのかとか、意識にまつわるテーマはwikipedia:意識のハード・プロブレムに出てくる用語や人名からたどっていけると思います。

ただこの作品全体は最新科学で意識の本性にせまるというようなテーマではないので、ペインフリーのシステムがらみでない場面では意識はカントの「理性」ぐらいの古典的なイメージで話作りしていました。“認識の主体”程度の意味でしょうかね。

記号うんぬんの話

人間は記号の乗り物と言える、という話はリチャード・ドーキンスによるミーム論(wikipedia:ミーム)ですね。人間は遺伝子の乗り物、とした本「利己的な遺伝子」に、同時に出てきます。

意識は物理世界と記号世界を扱うというくだりは、ロジャー・ペンローズの提唱する概念をネットで聞きかじって、だったかと思います。唯心論では、扱えるのは記号だけということになるのでしょうか。

社会学的な話

私がよく拝見しているブログにheuristic waysがありまして、人が今当たり前のように存在する私たちに至るまで近代化・現代化していく流れを、書物やメディアの紹介と考察を交えて書かれています。

11話の社会論の一部はこちらの記事からヒントを得ています。

だから、たとえばふだん当たり前のように買っているタバコがないと、「日常の時間」が中断される。そこから「思考」が始まる。田崎英明氏は、「思考」とは「日常の時間の切断」であると言っている。《つまり、思考とは一種の戦争機械であり、哲学とは魂を内戦状態にすることなのである。すべての魂に内戦をもたらすこと、それが哲学の使命にほかならない。》

http://d.hatena.ne.jp/matsuiism/20110429/p1

余談ですが作者のid:matsuiismさんはコンビニ店員さんだそうで、7年コンビニ店員だった鷲崎健さんといい、私はコンビニ店員さんの言葉に心打たれることが多いみたいです。はてな村有名人のコンビニ店長さんの記事も良く見てます。

安全保障の話

私は「信長の野望」ファンでしたし、人間の自然状態のイメージが凶暴です。先ほどのheuristic waysさんの記事(J.L.バイヨック『サガの社会史』)で支配−被支配関係のない社会の話など読むと、シブサワ・コウの即時開戦ワールドとの差にショックを覚えます。

学生時代はわが友マキアヴェッリとか読んでいて、塩野七生の影響も大きいです。

というわけで、おすすめはリアリズムと防衛を学ぶさんです。『リアリズムと防衛を学ぶ』 の人気エントリーを読むと面白いですよ。

作者のid:zyesutaさん、プロフィールアイコンからし高屋奈月先生のファンなんでしょうか……意外です。私もフルーツバスケット全巻持ってますけども。

伊藤計劃関連

ヴォグ・ランバ関連の本はまず「ハーモニー」。そして発表順は逆になりますが「虐殺器官」。この2冊を読んだ段階でヴォグ・ランバを描き始めました。「伊藤計劃記録」に収録された「From the Nothing, With Love.」も、ハーモニーの解釈に影響すると思います。

古い自分のブックマークを調べてみますと、私が最初に読んでみたいと思った書評はこちらでした。「ハーモニー」から入ったんですね。
「全体主義」というユートピア――伊藤計劃『ハーモニー』(早川書房、2009年) : 一酔人経綸問答

あとこのブログで以前、伊藤計劃さんという小説家を知ったのは亡くなった後だと書いたのですが、訂正します。正確にはこちらの記事から日記を見に行っていたはずでした……。
単著もないのに〜2008年夏〜 この一年で単著を出した文化系はてなダイアラーをまとめてみる - YAMDAS現更新履歴


以上です。私が謎の電波を受信して描いたことと矛盾する記述がありますが寛大に看過してください。こうしてみると、「参考文献」というまとめには、もともとできないですね。

需要あるかな?

さっき、「ヴォグ・ランバを一読ですませるためのポイント集」という解説記事を上げたんですけども、やっぱり読んでいただいた方の自由な感想を阻害するかな?と思って削除しました。
気にしないで!

追記:

ホントですか>b:id:Red-Comet:20130304さん
じゃちょっとだけ出します(以下ネタバレ含む)

続きを読む

キーハの造形の元になった(かもしれない)貝

勇者ヴォグ・ランバ」2巻発売いたしました。

特にネタがないので、キーハに似てる貝について書きます。画像転載の許可をとってないので、ご興味がありましたらリンク先に行ってみてください。

南の動物プランクトン 軟体動物の仲間

下から3,4番目の「ネジレクチキレウキガイ(Atlanta inclinata Souleyet)」というやつです。上の写真が殻におさまったところ、下が殻から頭を出したところですね。

こちらが動画です。2-55.mpg (video/mpeg オブジェクト) 

貝はイカ・タコ・アンモナイトなどの仲間なのでけっこう眼が発達した仲間がいるのですが、浮遊性貝類のネジレクチキレウキガイは体のサイズと比べて特に眼が大きいです。動画で眼がキョロキョロ動くところなんか、たまりませんね。

これをモデルにキーハを描いたというわけではないのですが、私は軟体動物が好きでこの貝を知っていたので、無意識に影響を受けたかもしれません。

画像はAtlanta inclinataで検索したほうがいくらか多く出てきます。まだネット上で情報の少ない生き物なので、今後の画像や動画の増加を期待しています。ではでは。

メールはこちらまで: sugio0089@yahoo.co.jp